技術やアイディアの習得は手間のかかる、我慢が必要なプロセスだ。

 しかしそんな指導に目立たないところで取り組んできた指導者がいたから、U-23の世代でアジア制覇を成し遂げた。

 U-19のアジア選手権では93年組、95年組とも8強止まりだった世代が、そこから一伸びできた。

 学校体育を維持しつつ、クラブ的な要素とのハイブリッド化に成功した――。

 日本がワールドカップは5大会連続、オリンピックは6大会連続で出場を果たし、ヨーロッパの主要リーグに人材を送り出せるようになった大きな背景はそこにある。

 その大枠を変える必要はないし、硬軟両面がいずれも重要なことは議論するまでもない。

 しかし技術、判断といった“ソフトウエア”は習得の過程が見えにくく、価値も認識されにくい。

 だからこそ、その重要性を改めて確認する必要がある。

 日本サッカーが強くなるためには、上手くならなければならない。

 ペルナSC、レオーネ山口のような指導をするチームが、もっと増えなければならない。

 

 今回の最終予選は手倉森誠監督の勝負師ぶり、気持ちの導き方に感嘆した。その一方でボールを思い通りにコントロールする、動かすという“仕込み”があったからこその結果だという背景も、改めて強調したい。